変形したのかと思いきや跡形もなくなってました
それは突然、走行中に大きく感じた違和感でした。
ただその時は全塗装が完了して組み付けるときに樹脂のワッシャーを入れたのを覚えていたのでそのワッシャーが変形したのだろうと思ってました。

分解してわかった前のポストの続きとなった原因とその対策です。
その違和感とは


3月8日に今シーズンの始まりとして電車輪行で参加したBBQサイクリング直方。

それが終わった数日後の走行中、ペダルを踏むと急にスイングアームがかなり大きめにガタつきはじめました。
また前回同様ピンが折れたかと思ったのですが表側からは異常が見られません。
感覚的にはフレームセンターから後輪外周で片側5mmほど、両側で10mmほどのガタつきと大きなものです。
この時自宅のリノベーションも概ね完成して引っ越してすぐだったこともあったのと、通勤で自転車を使わなくなったのもあって優先順位が低かったので一先ず放置してました。
OX PECO フレームの折りたたみ機構
先月ホームプロジェクターの施工が終わってBeforeの撮影も完了。
新居生活での日常を整えたのでそれまで放置してたRFB(OX PECOカスタム)の不具合の原因を調べるために自転車屋Bに持っていきます。
まずその前にOX PECOのフレームにおける折りたたみ機構の整理をします。

OX PECOは前後に折りたためる機構で、メインフレームやヘッドチューブ、シートチューブ、スイングアームなどを別パーツにしてステーなど片側8箇所、両側16箇所で支えてます。

ただ全部で16箇所ある連結部で唯一折りたたみ機構に関係ないのがスイングアームの接続部です。

表からは見えませんが、全ての接続部には黒い樹脂の軸受けワッシャーが入ります。

OX PECOはメインフレーム(メッキ調塗装部)にスイングアーム(マットブラック)が①の箇所を基点に路面からの入力(道路の亀裂や凹凸による振動)に応じてクッションゴムがたわむことで衝撃を吸収します。
①が動く量はそこまで大きくはありませんが、ボトムブラケットもスイングアームに付いていることから路面の衝撃と同時にペダルを回す力も受け止めるためこの機構の中で最も力が掛かる箇所で、この車体のキモといっても過言ではありません。

そのために①を固定しているボルトが折れたことで今年の1月に対策を施しました。
このblogでは何度もいっていますが、こういった走行性能の向上や入力(振動)が増加するようなカスタムをすることで本来純正の想定される範囲を超える使い方をすると必ずどこかに問題が発生します。
そしてその問題を解決すればまた違うところに問題が発生するイタチごっこになります。
そのイタチごっこの第2弾ということになります。
原因は樹脂ワッシャー

前回ワンオフで作ったチタン製ピンには問題なく、一度抜いてスイングアームを外してすぐわかりました。
組付け時に入れたはずの樹脂製軸受けワッシャーがありません。
突然ガタつきはじめたので、樹脂製軸受けワッシャーが割れてしまったのか削れてしまったのかわかりませんが見事に両側共になくなっていました。
ピンはΦ8mm、穴はΦ10mmですので軸受けワッシャーがなければ大きくガタついて当然ですし、このままではフレームにも致命的な損傷を負いかねません。
当初は樹脂製なので面倒だからサクッとワンオフでMCナイロンのような樹脂で作るかくらいのノリでした。

しかし他の接続箇所から軸受けワッシャーだけを外して寸法取りしようと手に取るとこの樹脂、相当固い樹脂でMCナイロンじゃ柔らかくて代用が効きそうにありません。(もったとしてもすぐに壊れると思います)
強度的に使えないMCナイロンではないとなると同じものを探さなくてはなりません。

そうしていろいろ調べた結果、これではないかという軸受けワッシャーに辿り着きます。
材料特性はわかるものの価格や寸法などはありません。
もともと機械系エンジニアなので何となく想定はしてましたが背に腹は代えられません。
念のためこのメーカーの問い合わせ窓口にメッセージします。
私の自転車の軸受けに貴社の『ダイハイロン DHA』と思われるものが使われており、同じものを購入したいのですが何か方法はありますか?
そうして返信が帰ってきました。
お問合せ有難うございました。
ダイハロンDHAにつきまして弊社標準在庫品はなく、受注生産となっております。
販売に際し、設計打合せ・図面作成・承認、治具製作の過程、(または該当自転車・機器メーカー様宛承認申請)またユーザー様宛直接販売は行っていない為、ご購入頂く商社様選定作業が必要となります。
上記・弊社対応方法につき、大変勝手申しますが該当自転車・機器メーカー様宛へのご購入依頼をお願い致したく、宜しくお願い致します。
こういった部品はその製品仕様に合わせた受注大量生産だろうと想定していたので諦めは早かったです。
ワンオフで軸受けワッシャーを作る
結局のところワンオフで作るしかないのですが、柔らかい樹脂だと同じことの繰り返しになるので素材をチタンに代えます。
ただチタンに代えるとメインフレームが衝撃を直に受けるのでアルミですから負けてしまう恐れがありますがRFBはそこまで長距離を走る想定をしていないこと、立ち漕ぎなど過度な入力をしないこと、平坦で舗装されている道しか走らないことから問題ないだろうと踏み切りました。


実測でメインフレームの軸幅が40mm、スイングアームの内幅41.8mmで片側0.9mmのクリアランスがあるので0.8mmのフランジ状とし、軸受け長を5mm延長して15mmにして念のため6個を早速いつもの試作品製作会社に依頼します。
この会社はRCT、RFBのカスタムでワンオフパーツの製作に過去幾度となく依頼をしているのですがとにかく精度が高く、迅速に対応していただけるのでいつも助かってます。
製作期間は2週間といわれますがいつも10日ほどで送ってくれます。
そして今回は発注して8日、届きました。

早速自転車屋Bに行って取り付けます。

若干圧入っぽくなりましたが問題ないでしょう。
これでいつまでもつか。そこまで距離を走る自転車じゃないので街乗り程度なら問題なくいける・・・はず。