ディスクブレーキのマウント規格、Gates Carbon Driveの手堅いベルトラインの合わせ方などをまとめてみます
自転車カスタム初心者の私がわからなかったこと、組んでみてわかったことの総まとめとなります。もしこれからカスタムを進めたい初心者の方への参考になればと思います。
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フォークのキャリパーマウント規格(PM編)
ディスクブレーキの場合、独自規格は除外してキャリパーのマウントには3種あります。
- フラットマウント(FM): 現在ロードバイク系の主流
- ポストマウント(PM): MTBや小径車は概ねこの規格
- インターナショナルスタンダード(IS): 昔の規格で現在の新車ではあまり見掛けない
ここではPMの詳細、IS→PMについてわかったことです。ちなみに現時点でIS→FMのアダプターは存在しないようです。
上がSAVANE FDB169S純正フォークのディスク径140mmPM、下はAliexpressで購入した一般的な汎用PMのカーボンフォークです。
一見するとわかりますがキャリパーの取り付く出っ張りが純正と汎用とでは汎用の方が長いのがおわかりだと思います。
純正がディスク径140mmということで基準ローター径をよく知らなかった私はここから沼にハマりました。詳細は後述します。PMのキャリパーを固定する上下のボルトピッチは74mmです。
インターナショナルスタンダードはボルトの固定する向きがPMと異なり、ISのボルトピッチは51mmとなります。
- PMの基準ローター径: 160mm
- ISの基準ローター径: 140mm
基準ローター径というのは規格上そのマウント形式に使うことのできる最小ディスクローターの径です。
ちなみにFMはディスクローター径140mmと160mmの2種類しか使えません。MTBなどで大径のディスクローターを使いたいのであれば基本PMもしくはISをPMに変換するマウントアダプターを付けて装着となります。
私は純正フォークがPMで、付いているディスク径が140mmだったのでてっきり普通にあるものだと勘違いしてましたがそもそもPMでF140mmは規格にありません。
要するに純正のフォークは規格外、独自規格だったということになります。そして汎用フォークは規格通り基準ローターサイズの160mmでした。
軽量化を目指すあまり規格についてよく知らないままブレーキディスク径を前後140mmで揃えて購入しましたが案の定ここでつまずきました。
今一般的に自転車用パーツで販売されているディスクブレーキのキャリパーはFMかPMです。
純正も然る事ながら一般に販売されている小径車用ディスクブレーキのフォークもマウント形式は概ねPMですのでhopeのキャリパーもPMで購入してました。
PMの基準ローター径は160mmなので当たり前ですが、前もって購入していた140mmのディスクローターは小さいのでこのままでは使えません。
そうして辿り着いたのがSILVEROCKのカーボンフォークです。
このフォークのマウント形式はフラットマウントですが、オプションでポストマウントに変換するアダプターがあり、F160mm、140mmを選択できるのであらかじめ購入していたポストマウントのブレーキキャリパー、140mmのブレーキディスクを取り付けることができました。
私の場合はそもそもキャリパーを購入する際、前後PMで選んでましたのでフラットマウントのキャリパーが実際装着できるかはやってないのでわかりません。
フォークのキャリパーマウント規格(IS→PM編)
ヘッドパーツ周りの強度的懸念を払拭するために新しいフォークを購入したのですが見た感じISです。(実際は違いました)
IS→PMのマウントアダプターはどこにでも売っていますがここも実際PMやISの基準ローター径をわかってないので苦戦します。
IS→PMのマウントアダプターでF140mmがAmazon他で見つからないのです。(R140mmはあります)
何で存在しないのかがわからずいろいろ調べてやっと基準ローター径を知ります。
マウントアダプターでR140mm(リア用)はジオメトリの関係でそのままフロントに持っていくと160mmになりますので使えないことも知ります。
ISの基準ローター径からわかるようにフロントに140mmのディスクを使うのであればマウントアダプターを介さずブレーキキャリパーは直付け(ダイレクトマウント)ということになるのですが、今どきISのキャリパーはなかなか見つかりませんしそもそもPMのhopeが手元にあります。
結局のところ困ったときはAliexpress。こういう規格外のマウントも売ってましたので購入します。
”たられば“ですが規格をよく知っていればフロントのディスクローターを最初からF160mmにしていれば何も問題なく進められたことでしょう。
ただF140mmをチョイスしたことでかなりの出費と時間的ロスは発生しましたが、だからこそマウントに関する知識が深まったことはいうまでもありません。
- それぞれのマウント形式の基準ローター径を把握する
- PMで進めるならディスクローターF160mmであれば問題なく進められる
- PMでF140mmを選ぶと独自規格のためパーツ入手が困難になる
カーボンフレームのフォークコラム形状
軽量化やホイール大径化に伴うフォーク換装をしない限りあまり関係がないところです。
これはSAVANE FDB169S、16インチ小径車では珍しいカーボンフレームの折りたたみフレームですが分解してすぐ気付きました。
フォークコラムの形状が私の知っている一般的なストレートとは異なる形状でした。
フォーク側、特にフレーム側は各メーカーが作った規格が相当数あるようなので割愛します。
通常よく目にするストレート形状の規格は『オーバーサイズ 1-1/8”』でコラム径(パイプ上部)28.6mm、クラウンレース径(パイプ根元部)30mmです。
テーパード形状はカーボンフレームのロードバイクによく見られる形状ということですが、SAVANE FDB169S純正はフォークコラム径28.6mm(1-1/8”)、根元のクラウンレース径39.8mm(1.5)という通常のフォーク側規格とは異なる独自規格と思われます。(クラウンレース径39.8mmであればワンポイントファイブといわれる1-1/2”規格でコラム径38.1mm)
そもそも普通の自転車をバラしたことはありますがロードバイクなど本格的な自転車を分解したことはありませんのでクラウンレース径が太い39.8mmだけで驚いた訳です。
やはりこういった特殊なパーツはAliexpress。
クラウンレース径30mmでベアリングがクラウンレース径39.8mmに対応した『下玉押し(下玉受け・クラウン)変換スペーサー』がありました。
それがわからなかったので当初MCナイロンでオリジナルスペーサーをワンオフで作って大きな出費をしましたが結局お蔵入りになったという苦い思い出があります。
- 変な規格の組み合わせが出てきてもそれに対応したパーツはだいたいAliexpressを探せばある
そう考えるとSAVANE FDB169Sはポストマウントでブレーキローターが前後140mm、フォークコラム径の組み合わせなど主要な部分が独自規格であることにあらためて気付きます。
軽量カーボンクランクの落とし穴
とにかくGates Carbon Driveのベルトラインと合うことが前提で軽量化を目的に見付けたクランクですが、この個体での不具合なのか最後はアルミのBOLANYに換装しました。
初期型が完成して1ヶ月ほどで左ペダルが不快なほどガタつき、ペダルを変えたりQRの向きを変えたりと小手先で対策しようとしましたが修復しませんでした。
組み付け当初、少し疑問に感じていたこともあって思いきって少しウェイト増になるアルミのクランクに変更したら完治しました。
原因は左クランクの固定方法から生まれた回転側のガタつきでした。
若干ウェイト増となりましたが駆動部分の不具合は不快感しかありませんので一般的な軸部分を両側からボルトで締め込むタイプにしました。
- 奇をてらった構造よりもオーソドックスで理にかなった構造はトラブルが少ない
Gates Carbon Driveのベルトライン
Gates Carbon Driveでベルトドライブ化する場合、概ねラインナップの多さからCDXを使うことになると思います。内装変速をALFINE(無印)にする場合、リアスプロケット型番はXMNです。
XMNのベルトライン(車体センターから装着されるベルトセンターまでの寸法)は43.7mmです。
これはわかるのですが問題はフロントです。
BBとクランク、フロントスプロケットの組み合わせでフロントのベルトラインがいくつになるのか現物が手元にあってもなかなかわかりにくいです。
私もわからなかったので当初は実寸大の図面を書いておおよそのイメージを把握しつつ進めてきました。
ただ実際BOLANYのアルミクランクに換装したときにやった方法です。
- フレームにワッシャーを付けずひとまずBBを根元まで仮締め
- クランクにFスプロケットを仮組み
- クランクをBBに根元まで入れる
- フレームセンターとFスプロケット中心まで測る
- 43.7mmから測った寸法を引き算
- 不足分をワッシャーでかさ増し
上記方法が一番手っ取り早いと思いました。
RCTのフロントは計算の結果もそうでしたが上記方法でTOKEN TK878TBTに2.5mm+0.5mmのワッシャーで計3.0mmにすると43.5mmになり、実測値も同じになりました。
ベルトラインは間違いなく+/-0mmが望ましいのですが、0.2mmの誤差は前後軸センターで0.031°のズレですから誤差といってもいいくらいだと思います。
ただどこまで許容できるのかはやってないのでわかりませんし、ワッシャーでかさ増しする寸法もせいぜい5mmが限界と思います。
あまりのズレは回転の抵抗に繋がりますし、ベルトが外れる可能性も考えられますがどこまで許容範囲にするかはそのパーツとご自身の判断によるかもしれません。
今だからわかる手堅いベルトラインの合わせ方
私の場合は実寸図面から各部寸法を割り出した上で幸運が重なったこともありました。
あくまでALFINEとGates Carbon Driveの組み合わせを前提に、このようなハードルを避けて時間を掛けてでも手堅くベルトラインを合わせてベルトドライブ化する方法はあります。以下から自己責任でお願いします。
Gates Carbon DriveのCDXでALFINE用SURFIT 3-Lobeにはベルトライン違いのリアスプロケットが3種あります。
- XMN(43.7mm)
- XMN-U(45.5mm)
- XMN-D(Di2用41.7mm)
- Carbon Drive CalculatorのCDXタブでご自身の自転車に合った前後スプロケットとベルトを探す
- 1.から導き出されたFスプロケットだけを購入
- BBやクランクも変更するなら購入
- フレームに2.3.を仮組み
- ご自身の自転車のフレームセンターからFスプロケットセンターまでのFベルトライン測定
- 5.に一番近いベルトラインの型番で1.で導き出した歯数のRスプロケットを探して購入 ※注
- Rスプロケットのベルトライン誤差分をワッシャーでかさ増ししてFベルトラインを合わせる
XMNはAliexpressで、XMN-UとXMN-DはAliexpressでなければebayで探します。
もしフロントのベルトラインが実測42.5mmだったら通常のXMNを購入し、最終組付け時にBBに1.2mm分ワッシャーでかさ増しすればピッタリ合います。
※注:このやり方のポイントはフロントのベルトラインが3種あるスプロケットのベルトラインとイコールか少しだけ小さいことです。例えばXMN-Uが最大ベルトライン45.5mmですからこれよりフロントのベルトラインが大きい、例えば46.5mmあるとBBを1mm薄いものに換えるかフレーム側を1mm削るという事態になります。フロントのベルトラインの最大は45.5mmということを念頭に置いてください。
なおBBもホローテックⅡやスクエアテーパーではベルトラインが変わってきます。※注のように最大ベルトラインは45.5mmですがスクエアテーパーでは最小XMN-Dを使って41.7mmとなります。