ペダルを踏むと鳴り、ステムに力を加えると収まる異音の原因を究明していきます
先週までの大雨から一転、福岡は連日猛暑日となっております。
今月初旬より体調が優れず、食欲もなく、お酒も美味しくない日々の上にやらなければいけない仕事が山積してるのでコツコツと消化して帰宅するという毎日を送っておりました。
しかし最近気になる異音がしてきたので原因を突き止めて解消するため一気に作業したいと思います。
具体的な症状
ペダルを踏むとヘッドチューブ辺りから『カチッ(大)カチッ(小)』という金属音とも樹脂の割れる音とも感じる異音が発生してました。
試しに走行中、ハンドルを奥に押したり手前に引いたりしてステムに力を掛けると収まりますのでヘッドチューブ周りに原因があるだろうと想定。
ただでさえベルトドライブでチェーンの金属音がなく、内装変速機でラチェット音もないタイヤのロードノイズ以外無音の自転車ですから少しの異音も不快に感じます。
せっかくなのでストックしている新品に交換
フレームとシートポスト、シートポストクランプ以外すべて換装してしまったフルカスタムの自転車なので、万が一を想定して特殊なパーツやブレーキ類のフッティングパーツ、アルフィーネの小物セット、ブレーキフルードやアルフィーネのギアオイルなどの油脂類は基本ストック分も購入しており、使ったら都度必ず補充するようにしています。
ヘッドセットの規格も様々ありますので、まずは純正のベアリングを外して測定後に同じサイズのベアリングを購入してました。
今回は手間の掛かるヘッドチューブ周りの分解をするのでついでにヘッドチューブのベアリングもストックしていた新品に交換します。
作業開始
RIDELOVE Storeのカーボンフォークに換装以来となるヘッドチューブ周りの分解です。
M18のアルミボルトは何事もありません。
折りたたみステムを外してULLICYCカーボンフォークでトラブったフォークのネジ部を確認。RIDELOVE Storeのカーボンフォークは何事もありません。
異音の原因と思われる箇所
カーボンフォークを引き抜きます。
ヘッドチューブ内のベアリング他パーツを一通り目視・触手確認。この後一通り洗浄してグリスを塗布します。
音の鳴っている箇所から、多分クラウンレース(下玉押し)の割れ目から発していると想定。
今まで進行方向の逆、クランク側に向けていた割れ目を横向きにしてみます。
組み立て
クラウンレース側のベアリングを新品に換えて一気に組み付けてしまいます。
フォークコラムにステムを挟み込みますがこの時点でステムの横にあるボルトは締め込みません。
この作業で一番気を遣う作業がコラムを固定するためのボルトの締め付けです。
締め付ける作業というより、コラム側のネジ部に斜めに入ることがないようにまずは引っかかりがないか確認しながら手で回していき、問題なくボルトのネジ部が噛み合ったら六角レンチで締めていきます。
このネジ部がなめてしまったら最後。取り返しが付きません。
ネジの締め付け力でコラムが固定できなくなってしまうため、このフォークは廃棄になってしまいます。
ついでにフロント側ディスクも確認とクリーニング。ブレーキパッドが均等に当たっているので問題ありません。
フロントタイヤを取り付けて大まかなセンターを出しておきます。
折りたたんであったステムを立ち上げ、ハンドルとタイヤの角度を合わせた時点でステム横のボルトを締め付けます。
リアブレーキラインとシフターワイヤーの取り回しを確認してからステム横にOUTBRAKER ABSを固定。フロントバッグを装着して完了です。
作業自体は段取り(使う工具、バラす順序、確認事項、組み立てる順序など)含め慣れてしまえば30分も掛かりません。
異音が発生している原因は他にもあった
異音の原因として想定されるクラウンレースの向きを変えてベアリングも新品に換えた結果、異音の鳴り方が『カチッ(大)カチッ(小)』から『カチッ(小)・無音・カチッ(小)・無音』へと変わり、また今までヘッドチューブ周りから聞こえていたはずが頭の真下に異音源が移動しました。
原因がひとつだけではないようです。
頭の下で異音が発生する原因は2つ、『BB周り』か『折りたたみのヒンジ部』です。
BB周りは一通りボルト類の締め付けトルク確認を行った結果は異常なしです。
やはり原因となるのは『折りたたみヒンジ部』となります。
途中で分割されるフレーム断面の摩耗防止のために貼っていた耐震マットを剥がしてクリーニングして各部を確認した結果、赤丸のヒンジ部のピンが周方向にガタつきますがその音と酷似してます。
そもそもこのピンは新車の時点でも若干のガタつきはありましたが異音はしませんでした。
それはヒンジで引っ張られてフレーム同士が完全に密着しているのでガタつきようがないので音はしません。
異音源がこのピンでも原因は他にあります。
そうなると考えられる原因はひとつ、ヒンジの締め付けが甘くなったということです。
折りたたみ部のフレーム断面を摩耗から保護するために耐震マットを貼りました。
その耐震マットのおかげで100km超含む長距離ポタ数回、ツール・ド・国東参加などかなり過酷に走行しましたが、折りたたみ部のフレーム断面の金属が剥き出しになってきたシルバー部(画像左上)の面積が広がってないことから摩耗は進行してません。
狙いとしては正解です。
従来の耐震マットがないリジットな場合ですとヒンジ部の緩み=フレームのガタつきに直結するので体感で気が付くことができますからすぐ六角レンチで締め付ければいいだけです。
反面耐震マットのおかげで少しくらいならフレームのガタつきを吸収してくれるので体感で気が付きにくく、人が乗車しない(荷重が掛かってない)状態だと手で触ったぐらいではわかりません。
冒頭にも書いた『ステムに力を加えると音が収まる』理由は、当然ヘッドチューブにも力が加わりクラウンレースの遊びがなくなると同時にフレームの折りたたみ部にも力が加わり、ガタつきが抑え込まれることで異音が消えたということです。
結局今回の異音の原因はクラウンレースの遊びと折りたたみヒンジ部の緩みでした。
ヘッドチューブ周りは対策済みなので一通り折りたたみ部の耐震マットを新品に貼り替えてヒンジの締め付け量を調整。
結果として不快な異音は完全に消え、静かな自転車に戻りました。
不具合が発生したら自分で原因を把握して修理・修正することで次に似た症状が発生した場合、すぐに対処できるようになりますし、個人的にはこういうことが楽しかったりします。