装着以前のところで思わぬ苦戦も何とか強度的懸念を払拭
前回までのおさらいです。
16インチを20インチ化する上で換装したSILVEROCKのカーボンフォーク。
新たに発売されてたので購入したULLICYCのカーボンフォークですが、キャリパーのマウント形式がIS(インターナショナルスタンダード)だろうと思い込んでたところ予想外の展開になりました。
マウントアダプターは取り付くもののアダプターにブレーキディスクが当たってこのままでは装着できないというまさかの事態です。
対応策を考える
各部確認・測定の結果、マウントアダプターを3mmディスク面より外側にズラさないといけないことがわかったので、要するにアダプターを3mm削ればいいんです。
アダプターの板厚は10mmありますから3mm削って7mm。当然削る前よりも剛性は落ちますがそこまで大きな低下にはならないと思います。
かといって全面3mm削るとキャリパーの取付ボルト穴(M6)まで削ってしまうのでフォークのマウント部だけ最小限削る方向で考えます。
さらにブレーキキャリパーは回転するブレーキローターをブレーキパッドで挟み込むのでその摩擦力で応力が掛かります。
そして黄色の丸部に一番応力が掛かります。追加工したところにクラックなど入ろうものなら命に関わりますのでここの加工は工夫しないといけません。
マウントアダプターの追加工をするための準備[思わぬ苦戦]
まずはマウントアダプターにケガキ線を挽きます。
イメージとしては応力が一番掛かる部分をφ6mmのエンドミルで削ってR加工として、サクっと概略も作っていつもお願いしている金属加工屋さんにメールします。
「うち、汎用ないよ?」「え?」
電話して聞いてみると今はNCしかなく、図面があって素材から削り出すのであれば対応できるが現物の追加工は受けられないとのこと。
「汎用扱える人うちにはもういないし、汎用持ってるとこ町工場みたいなところしかないんじゃ?」
工業系の方はわかると思いますが、昔のように職人さんが手で操作して金属を削る汎用加工機械(汎用旋盤や汎用フライス盤)は姿を消し、NCに置き換わっているところがほとんどということです。
人の技術が必要ありません。
NC「Numerical Control(数値制御)」は図面から作成した加工プログラムに沿って自動的に加工を行うので自動で高精度、均一に加工してくれます。
確かに私がエンジニアの頃、NCが普及しはじめた時代です。あの頃の旋盤職人さんは確実に引退している年齢です。
こういった技術はお金にならず、だから受け継がれず、どんどん置き換わっていくのだとあらためて思いました。
しかしそうもいってられません。このままではフォークが装着できないからです。
検索の結果、福岡県内で探して問い合わせた金属加工の会社は5社ともNGということで苦戦します。
そして探すこと6社目、試作品製作や単品加工を主としている会社を見付けて早速問い合わせます。
“図面はなく、現物合わせで加工を希望”の旨伝えると「多分、できると思いますが現物を見たいので送ってください」とのこと。
詳細な指示書を作って送ります。翌日メールが届きました。
納期は11月8日、見積額●2,000円。(ちなみに現物を採寸して0から作るとなると倍以上)
(゚Д゚)⁈
2度見しましたが間違いありません(=_=) 大量生産しているマウントアダプターは送料込み858円は仕方ないとして追加工にフォーク2本近くとは・・・(>_<)
しかし背に腹は代えられません。加工しないと付けられないのでお願いするほかありません。
泣く泣く発注書をメールしました。゚(゚´Д`゚)゚。
11月7日、メールで完成の知らせが入ります。
仮組みと準備
早速届いたのでまずは確認。
一番応力が掛かる部分だけR加工してもらいました。
カーボンフォークのマウント部に当たりませんので狙い通りです。
また前回の仮組みで気が付いていたのですがM6のチタンボルト、長さ18mmだと平ワッシャーを付けてもディスクローターに当たるかもしれませんので長さ16mm、平ワッシャーとスプリングワッシャーを組み合わせて長さを短くします。
またこのフォークの一番の特徴であるフォークコラムをステムに固定するM18のボルトですが、ステム基部のアルミと直接触れることを避けるためカーボンとステンレスのワッシャーを間に入れます。
ついでに切削部の塗装も済ませておきます。
本組み
まずはULLICYCカーボンフォークに追加工したマウントアダプターをチタンボルトM6×16mm+チタンワッシャーで取り付けておきます。
続いて現状のフォークを取り外します。
あらためて見ると本当にM6×30mmの1本だけで固定しているのでボルトが折れたらと考えると怖いです。
作業部分は割愛します。
フォークを固定するには3/8インチの六角レンチが必要です。
緩み防止のためだと思うのですがネジは相当固いです。
そんなこんなで何とか固定。
後はhope RX4(ブレーキキャリパー)のパッドがブレーキディスクと当たらない位置で固定します。
完成
取り付け時間は30分も掛からず完成。
まさかのマウントアダプター追加工という遠回りをしましたが、無事計算通り装着することができました。
実走した感想
それが目的ではありましたが、やはり相当剛性が上がりました。
試作ステムワッシャーでも割と剛性は上がったと感じましたが、どうしても通常走行で何か前後にハンドルポストがウニウニ動くような感覚は残ってました。
それが一切なくなり、カチッとした感覚です。
またSILVEROCKカーボンフォークでフロントブレーキを掛けると微かにキャリパーがガタつく感覚もなく、フロント周り全体の剛性が上がったと体感できました。
[追記]Fホイールが外れない
メンテナンスのときに初めて気が付きましたので追記しておきます。
F140mm用マウントアダプターのキャリパー取付角度の関係でQRでサクッとFホイールを外そうにもブレーキディスクがキャリパーと接触して外せませんでした。
Fホイールを外すときはまずキャリパーを外さないといけないという何のためのQRかわかりません(+_+)
Nuttのマウントアダプター(追加工)、F140mm、キャリパーはhopeという特殊な組み合わせなので参考までにお知らせしておきます。
ただキャリパーを外せばFホイールは外れるので致命的な状況じゃないだけよかったです。
また人柱的なレビューになりました。
今回私の場合はIS→PMのマウントアダプターでフロントφ140mmのブレーキディスクに対応したものを探す必要がありました。
自転車のキャリパーマウント規格をよく理解していなかったことが原因です。(F160mm以上であればAmazonで買えます)
その上でこのカーボンフォーク、一般の方にオススメできるかといえばどうしてもマウントアダプターの追加工という大きなハードルがありますので難しいのではないかと思います。
逆にそのハードルである追加工を自分でできる、知り合いが汎用フライスを扱える、安い加工業者さんのツテがあるなど問題ないのであれば例外です。また対策品として純正マウントアダプターが付属されてれば最高です。
しかしハンドルポストの長い折りたたみ自転車で20インチ化などのカスタムでフォークを換装したい場合、フロント周りの剛性アップを図りたければ今のところこのフォークしか選択肢がないという現状となります。
その後リリースされたRIDELOVE Storeのカーボンフォークに換装
RCT完成後左ペダルのガタつきでクランク一式、続いて強度的懸念でフォークと自転車の重要なパーツに不満を抱えて換装しました。今のところこれ以外不安や不満に感じるところはないのでこれがVer.3、最終完成形のになると思います。
いや、そろそろ最後にして不安や不満を抱えることなく走りたいのがホンネです(+_+)
これがノウハウがない素人カスタムの沼なんでしょう。