ベース車両がカーボンフレームの折りたたみ16インチ、RCT-2011s ALFINEで175時間走って気が付いたことをまとめます
折りたたみ16インチ小径車では珍しいカーボンフレームのSAVANE FDB169Sをカスタムして完成後8ヶ月が経ち、STRAVAでの走行距離が2,800km近く、もうすぐ3,000kmとなります。
- アクティビティ(活動): 467回
- 距離: 2,797.7km
- 獲得標高: 7,390m
- 走行時間: 175時間7分
これまでのカスタムの経緯をまとめます。
- カーボンフレームとシートポスト以外すべて変更
- 純正カラー全剥離・全塗装(オリジナルステッカー施工)
- 純正16インチ→20インチ406化(Fフォーク変更)
- ベルトドライブ化(Gates Carbon Drive)
- ベルトドライブ化に伴い内装変速化(Shimano ALFINE 11)
- 2度のスプロケット比変更で現在3.18(F70T-R22T)
- 車両重量9.02kg(ペダル含):SAVANE FDB169S 車両重量9.29kg(ペダル含)
- 装備重量11.02kg
ハンドリング
純正のSAVANE FDB169Sと比較してカスタム後はあまりのクイックさに注意を要するハンドリングでしたが、もう3,000km近く走りましたので慣れました。
その昔通勤でアルミフレームの20インチミニベロ、ドッペルギャンガーBLACKQUEEN 555(販売終了)に保安部品だけ付けた状態で乗っていました。車両重量12kgくらい、装備重量だと14kg近くなっていたと思いますので持ち上げたときに結構重かった感覚があります。
ただ同じ20インチ406でしたがRCTと比較するとドッシリした安定感がありました。また知り合いのDAHON K3(14インチ)に乗ったときも小径車特有の出だしの良さや軽快なハンドリングでしたがRCTより安定感がありましたし、速度維持も若干楽でした。
小径車故そもそもホイールのジャイロ効果が低いのでハンドリングはクイックになりますし、速度維持も厳しくなります。
ただそれでは14インチのDAHON K3の方がもっと不安定で速度維持も難しいことになるはずですが、この効果をタイヤやホイールに例えると以下になります。
- ホイールセットの直径が大きいほど慣性モーメントは高くなるので回転させてしまえば安定する
- 回転するホイールセットの重量が重ければより慣性モーメントが高くなるので回ってしまえば速度を維持しやすく安定する
要するにホイールセットの径が大きく、ハブの外側にあるスポークやリム、タイヤが重ければより安定するということになります。
またホイールセットの重量が重いと重心は低い位置(低重心化)、地面側に移動するのでより安定します。
DAHON K3はタイヤの直径は小さいですが、カーボンフレームより重いアルミフレームが低い位置にあること、14インチといえどタイヤは太くてそこそこの重量があり、何より並べてみると一目瞭然ですが前後の車軸の間隔、ホイールベースが長いです。
自動車もそうですがホイールベースが長いと直進安定性が高くなる反面小回りが効かなくなり、短いと小回りが効く反面直進安定性が低くなります。
DAHON K3の安定感はジャイロ効果や重心、ホイールベースなどのバランスの上に成り立っているからなのでしょう。
そして安定感を生む理屈は重量と重心やバランスなんだと思います。
でもそうなるとより大径タイヤのロードバイクは不安定かというと違います。
結局のところ4つのバランスなのでしょう。
- 車体重量
- 慣性モーメント(タイヤサイズ・ホイールセット重量)
- 重心の位置(高低・前後)
- ホイールベース
純正16インチから20インチにしてタイヤの直径が大きくなったこと、地面に近いホイールセットやクランク、ペダルの軽量化で車両単体での重心が上がったこと。前輪が相当軽くなった反面内装変速化に伴い後輪重量増加で相対的に重心は後ろなった結果、重心のバランスが崩れたため純正と比較しても安定感が低くなった。
要するにメーカーが計算した純正の最適なバランスを今回のカスタムで崩したということが一番の要因だと思います。
細かいところで誤りがあると思いますが理屈の方向性として。
ロードバイクは大径タイヤ、軽い外装変速で軽量パーツを多用していますが、乗車姿勢が前傾で身体の重い部位である頭部が低い位置に来るので乗車時の重心は前後の中心に近くて割と低く、重いパーツのクランクは前後の中心部で低い位置に来ますからなおさらです。要するに重心のバランスが中心で比較的低いから安定するのでしょう。
大径タイヤですから漕ぎ出しは重いですが動き出してしまえば安定しますし、速度が上がるほどジャイロ効果は高くなりますからさらに安定します。知れば知るほどとても考えられた造りなのだとあらためて感心しました。
RCTはカスタムの特性上、内装変速化によるウェイト増を相殺するためにできる限り軽量なパーツで構成した弊害ですが軽いので慣性が低く、重心は高く後輪寄りになります。
グースネック型ハンドルポストで若干前のめりになるとはいえ長いハンドルポストにフラットバーなので乗車姿勢は立ち気味になり、重い頭部は高い位置に来ますから乗車時の重心はさらに高くなり乗車時の前後の重量配分は感覚的に前輪15:後輪85くらいになるでしょうか。
RCTのハンドリングがヒラヒラする感覚は乗車時の重心が高く、前輪の軽い重量、さらに前輪に掛かる加重も低いので前輪が軽すぎて落ち着きないことが原因だと思いますが、一定の速度で巡航していれば無茶なことをしない限り問題ありません。
ペダルを漕ぐことで速度を維持し、重量物(内装変速機)が後ろにあり立ち気味の乗車姿勢によって人間の重心も高め。そういった要因から生まれた不安定さは身体のバランスで維持するので結果として直接身体的疲労に繋がります。
1輪車とはいいませんが1.5輪車的感覚なのでダイエットには向いてるかもしれません(+_+)
その人の乗り方や運用の仕方でメリットとデメリットは変わります。
私は安定感を捨てて軽量化を目指しましたが、折りたたんでの輪行を目的とせず通勤主体でたまに平坦な道のロングライドをしたい場合であればそこまで軽量化に拘る必要はない気がしますし、重いことのメリットが上回るかもしれません。
今の状態で安定性を求めるなら前輪に重いホイールと太いタイヤを履けば解決するでしょうが、こういったピーキーな乗り物を好む性格なのでこのままでよしとします。
乗り心地
硬くなる方向に振ってるので当然硬いですがこれも走り方や自然なポジションの工夫などで慣れてきた部分と状況に応じた対策もしました。
SCHWALBE ONE 28-406 [20×1.10]ですから太さは規格で27.9mm、実測で30mmないくらいです。ちなみに純正は40-305 [16×1.50]ですから規格上の太さは38mm、実測36mmでした。
太いタイヤのメリットは空気の量が多く入りますからクッション性が高まることで乗り心地がよくなりますし、接地面が広くなる分滑りにくくなります。
逆にデメリットは接地面が広いことで摩擦が大きくなるので速度は維持しづらくなりますし、こちらはメリットともデメリットとも言えますがゴム量が多いので重くなります。
細いタイヤのメリットは高い空気圧によってよく転がるので速く、漕ぎ出しも軽い上に重量が軽いこととなります。
デメリットは高い空気圧によって衝撃吸収性が悪いので車体へのダメージ蓄積や身体的疲労に直結しますし、接地面が少ないことから滑りやすくなります。
先ほどのハンドリングの不安定さに滑りやすい高圧の細いタイヤという組み合わせですから雨上がりのアスファルトならまだしも濡れた状態の白線、表面がキレイな点字ブロックなどは氷上走行の感覚になってとても恐ろしくて走ることができません。
またRCTの場合は衝撃吸収力の低い高圧の細いタイヤにフレームとリムはカーボンですから振動はダイレクトに伝わります。
ですから縁石などで少し高めの凹凸は極力速度を落として対応しますし、細かな振動などで気付かぬうちにボルトが緩むこともありました。
そして私の場合は走行距離が70km超えるとお尻が痛くなります。
グースネック型ハンドルポストで少し前傾になるもののロードバイクのように脚、状況によっては腕で体重を支える姿勢にはほど遠いので必然的に臀部で支えることになるためなおさらです。
TIOGA SPIDER STRATUMは座るとしなる構造なので通勤などでは全く気になりませんが、やはり何も対策しないと走行距離が伸びれば痛くなるので距離に応じてサドルクッションを付けることにしました。
凹凸に注意して臀部を保護し、脚さえ保てば100km超えても楽しく走らせられます。
結局サドルカバーを常時フロントバッグに入れて運ぶのはデッドウェイトになってしまうため、長距離を走る際にはインナーパンツを履くようにしました。
RCTでの長距離走行
現在1日での最長距離は遠賀川に架かる『なみかけ大橋』までの往復、119.54kmです。
単純に走るだけなら短縮できると思いますが途中止まって写真を撮ったり、休憩したり、ご飯食べたりするので出発からの経過時間をおしなべて見るとおおよそ6時間前後で90kmが私の目安になります。
小径車なのでペダルを踏んでないと速度維持ができないので90km弱の三連水車から帰ってきて1kg近く減量してた時は結構驚きました。
電車輪行も勝手がわかったので片道100km超ルートを作成してゴール地点で1泊、帰りは体調などを見て自走か最悪電車輪行で帰宅という選択肢も広がるので春先が待ち遠しいです。
Gates Carbon DriveとShimano ALFINE 11
完成後からこれまでベルトドライブのGates Carbon Driveはトラブルや不満は一切ありませんし、個人的にはとても満足度の高いカスタムです。
土埃の巻き上げで汚れたりしますが油汚れと違うので洗えばキレイに落ちますし、ベルト外れや脱落は一度もありません。とにかく静かなので歩道を徐行している場合、気が付かない歩行者にシフター操作音で存在を知らせるくらいです。
内装変速機のALFINEは個人の怠慢でギア飛びトラブルはありましたがすぐ直りましたし、コストのハードルを越えて導入してよかったパーツのひとつです。
スプロケット比3.18にしてますので街中での発進時は3〜4段スタートとなり、11段時ケイデンス50rpmで30km/hを超えますので歩行者や自動車のいない平坦な道であればペダルを踏んでいれば巡航35km/hも可能です。
その代わり勾配8%以上が続く場合は歩きます。
F55T-R24Tの2.29では勾配9%以上、途中11%でも立ち漕ぎせず登れましたが3.18の場合、私の脚力では漕げません。
カーボンフレーム折りたたみ自転車は強度的な懸念からか連続した立ち漕ぎをしないよう注意書きされておりますし、ポジション的にも厳しいです。またそのような運用をする目的で造られている自転車ではありませんので仕方ありません。
勾配が少ない道を中長距離走りたかったので3.18にしましたが、20インチでもより大径ホイールの451や街中運用主体であればF63Tで2.86がいいかもしれません。
まとめ
折りたたみカーボンフレームや16→20インチ化、ベルトドライブ化、内装変速化など魔改造レベルのカスタムになってしまったので比較対象となる自転車が見当たりません。
カスタム後の実運用が純正で想定される速度を大きく上回る状況で今後気に掛かることはやはりカーボンフレーム、カーボンフォークの寿命がいつまで保つのかだと思います。
ヒンジ部の締め付けボルトのトルク管理をしてますが、やはり若干ガタつきが出てきましたので一度バラして再度組み付けてみようと思います。
ここまではあくまで個人の体感でしかないので参考になりづらいかもしれません。
友人に「他の自転車を見付けてカスタムするの?」と聞かれましたが「当分やらない」と答えました。
それぐらい今はRCTにしか興味が沸きません。
ハッキリいえることはとにかく走っているのが楽しいです。
スケジュールに余裕があって天候が晴れの場合、確実にどこか走りに行きたい衝動に駆られるくらいワクワクします。
その季節の気温、風、自転車でなければ見過ごしてしまう景色、立ち寄った遠くで自転車がスキな人と出会って談義に花を咲かせる楽しいひとときは自転車で楽しむと決めたこと、カスタムをして得た知識と経験がなければなかったことでしょう。
次にやりたいこと、画策していることは以下となります。
- 公共交通機関での輪行(実施済)
- フロントブレーキキャリパーのフラットマウント化(換装済)
- チューブレスレディ化(妄想中)
飽きるどころかまだまだやりたいことがあります。
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