カーボンフレーム16インチ折りたたみ自転車を20インチ化して生まれた強度的懸念とその対策を模索
仕事が立て込んでたり野良猫を立て続けに2匹保護したり、1匹(黒猫)は里親に出したりと何かと忙しない日々を送っておりました。
10月に入って過ごしやすい日が続いておりますのでそろそろ自転車で遠出ができる季節になりました。
クランクを換えたことで不快に感じていたペダル周りの異音も解消したので日頃の通勤に関して不満に思うことはありません。
ただこの大幅なカスタムの中でどうしてもひとつ、強度的な懸念がありました。
今回はその懸念を払拭するための試作品、完成品(現在製作発注済で図面のみ)、そして何気に探してたら見つかった対策品を。
一番の強度的懸念は“ヘッドパーツ周り”
そもそも小径折りたたみ自転車は一般的な自転車(俗にいうママチャリ)はもとよりロードバイクなどとも比較すると構造的にかなり異質な作りになってます。
その最たる例は『折りたたみ機構を備えた長いハンドルポスト』です。
この緩やかに曲がったLiteproの『グースネック型ハンドルポスト』は基部よりおよそ370mmにハンドルバーが取り付きます。
SAVANE FDB169Sの純正ヘッドパーツ周りです。
純正のカーボン製フロントフォークのフォークコラム(パイプ部)はカーボンフレームの自転車ではよく見られる上部φ28.6mm、下部40mmとなってます。
この上部φ28.6mmのパイプ内部に埋め込まれたネジ部にオリジナルの削り出しステンレス材M20ボルトでハンドルポストの折りたたみ基部を“抜け方向”の固定をします。
ハンドルポスト基部には前傾姿勢でなくとも前後へはそれなりに力が掛かりますし、左右にも少なからず力は掛かります。
まず抜け方向が削り出しステンレス材M20のボルトですから応力計算は割愛しますがそう簡単に折れる物ではありません。
また回転方向の固定もM8ボルトを両側から締め込むのでハンドルポスト基部は異質な構造ながら街乗りや少しスピードを出すくらいではそうそう不安に感じることはありません。
自らすべて分解し、ひとつひとつパーツを選んで組んでいった中での強度的懸念はこのハンドルポストの基部、『ヘッドパーツ周り』でした。
脆弱といってもいいこの懸念は結局このカスタムの大きな目的のひとつである純正16インチ→20インチ化したことで生まれたものです。
20インチ化のためにFフォークを変更することになり、当初は同じSAVANEの20インチに使われるカーボンフォークを単体で取り寄せて装着することも考えました。
ただSAVANE FDB209のFフォークは寸法的にはそのまま取り付くものの、ブレーキディスク径がφ160mm(FDB169Sは140mm)ということですでに購入してしまった140mmブレーキディスクを無駄にしたくもなく断念。
市販で売られていたSILVEROCKのカーボンフォーク(ディスク径160mm・140mm選択可)にしたという経緯です。
自転車のパーツやカスタムに詳しい方はわかると思いますが、市販のFフォークのフォークコラム(パイプ部)は長さを合わせて切断して使うので“そのままのパイプ状”ですからSAVANE純正のFフォークのようにネジ切りされてません。
フォークコラム内にネジを締めると径が拡がって固定することができるヘッドセットを使ってステムトップを固定して使います。
ヘッドセットの画像中心部の六角穴の中にネジ穴があり、このネジ穴でステムトップを固定します。
そしてそのネジ穴に入るボルトはM6です。
ただ先にも書いたようにハンドルポストが長い小径折りたたみ自転車の異質な構造はハンドルポスト基部にブレーキング時は前方向へ、発進時は後ろ方向へ力が加わります。
純正のハンドルポストの基部は削り出しステンレス材の直径20mmのボルトです。
Fフォークを交換するとこの真ん中の6mmのボルト1本だけであの長いハンドルポストの抜け方向をフォークコラムに固定します。
例えば抜け方向だけを押さえるのであればこれでいいかもしれません。
ハンドルポスト基部を支点として、370mmの高さで急ブレーキ時に全体重とまではいきませんが想定20kg掛かるとしてその応力を6mmのボルト1本ですから、例え回転方向の固定があるにしても強度的には心許ないですし、普通に強度的には不足するのではないかと思います。
今のところ走行中の違和感はありませんが、例えば長い下りで速度が出ている時にこのボルトが折れた、ワッシャーから抜けたということになれば間違いなくタダでは済みません。
それともう1点、フォークコラムとハンドルポストの回転方向を固定する部分の長さの違いです。
ハンドルポスト基部のボルトを締めることでフォークコラムを挟み込んで固定するのですが純正はM8の2本でした。Liteproのグースネック型ハンドルポストはM8が1本です。1本省けた理由は挟み込む長さの違いです。
M8ボルト2本の純正は挟み込む部分の長さが25mm、対してM8ボルト1本のLiteproは16mmです。
ハンドルポスト基部はアルミの鋳造だと思うのですがこういった部分を削って軽くしている都合上強度的には低くなる方向であることは間違いありません。
懸念を少しでも払拭するためのアイデア
そしてボルトの径の細さとともにステムトップ自体の素材も本当にアルミでいいのかということになります。
現状このままですと固定するボルトはM6しか選択肢がありません。
ということでまずはステムトップの試作品を作りました。
市販されているM6のワッシャーは特寸でも外径20mm、厚さ1mmですので金属加工業者さんにお願いして作ってみました。
外径34mm、厚さ3mm、素材はSUS304(ステンレス)です。フェライト系SUS430他も考えましたが自転車といえど局所的に力が掛かる箇所なのと試作品ということで入手性の高さで選びました。
郵送で送られてきましたので早速装着。
固定ボルトはアルミではなくM6×30mmのSCM435(クロムモリブデン鋼)、六角穴付きボルトにしてます。
問題点
当初ステンレスのスプリングワッシャーと特寸の外径φ20mm、t=1mmのワッシャーを入れたのですがボルト頭が折りたたみのヒンジ機構にぶつかって締まらなくなってしまいました・・・
通常のワッシャーだけでしたら締まります。
試乗してすぐに感じたのはアルミのステムトップと比較してそれが目的ではありますけど“ハンドルポストの剛性感”が明らかに上がりました。
ただどうしても前輪の細かい振動がダイレクトに伝わる部分ですので平坦な道路であれば今のところ30kmほど走行しても問題ないのですが、河川敷など凹凸が多い道を低速で延べ10kmほど走行するとネジロックを塗布していてもスプリングワッシャーを付けていないのでどうしてもボルトが緩んできます。
当然一時停止して常備している六角レンチでボルトを締めると元に戻ります。
そうしてその解決策としてステムワッシャーの完成形として図面を作ってみました。
すでに発注済(一時ストップを指示)ではありますが素材の関係上少し製作に時間が掛かるということでまずは図面だけ。
素材はワッシャー、ボルト(M6×30mm)共に引張強度やヤング率などに優れるチタン合金(64チタン)とします。
ハンドルポストを押さえるワッシャーの外径と厚さ部分の寸法は変えず中心部を3mm下げてボルト頭とスプリングワッシャーの高さを抑えて折りたたみ機構との接触を避けます。
これでハンドルポスト基部の取り付けは強化されますので現状の強度的な不安、走行中の振動でボルトが緩んでくる症状は少し解消されるでしょう。
ただこの後に対策品を見付けて慌てて金属加工業者さんに一時ストップの指示をしました。素材調達前だったのでギリギリセーフです。
根本的な強度不足の向上策
要するにこの強度不足はM6という細いボルトで固定していることが主因です。
ではM6を純正のM20は難しいとして、例えば倍のM12、せめてM10くらいにしたらいいのでは?ということになります。
いっそのことオリジナルでヘッドセットの中身を作ってしまえばいい。
ヘッドセットはボルトを締め込むことで外径が広がる構造です。このボルトの径を太くすればいいんです。
いくつかヘッドセットを購入しましたがそのすべてがM10ボルトの中にM6のネジ切りがされているので、これをM16のボルト内にM10、素材をチタンに変えてM12にできないか?
加工コストが掛かる六角穴付き加工をやめて通常の六角ボルトの中にネジ切りしたらどうか?それに対応したステムワッシャーも新たに作らないとなどなど金属加工業者さんと相談してますのでいずれ結論が出ると思いました。
そうすれば大幅な強度アップ、間違いなくヘッドパーツ周りの不安の解消になりますがステムワッシャーと違ってかなりコストが掛かるでしょう。
アイデアとしてはよいかもしれませんが例えばフォークコラムの長さが特殊であるとかでもない限りオリジナルでコレを作るに至ることは最終手段かもしれません。
そもそもFDB209のFフォークを取り寄せてFブレーキディスクをφ160mmにした方がいいのでは?
そこも最終的にコスト次第になるので同時進行で調べている最中でした。
そんなことを考えながら恒例のAliexpressを眺めていたらこの強度不足を解消するよさげなFフォークがあるじゃないですか!
Ullicyc 20インチ折りたたみ式ロードバイクフォーク
昨年末から今年はじめに掛けて探している時は見掛けなかった商品です。
このFフォークの特徴は2つ。
フォークコラム長を3種(111mm・121mm・123mm)から選択できること、そして何よりハンドルポスト基部に固定するための大径ボルトが付属していることです。
これが最初からあったら何も苦労することがなかったような・・・
まずキャリパーマウントは今どき珍しくインターナショナルスタンダード(IS)(後にオリジナルタイプのマウントと判明)のようですからhope RX4を取り付けるにはポストマウント(PS)へ変換する必要があるためブレーキディスク径140mmに対応した『IS→PS変換アダプター』は必須です。
現状RCTのフォークコラム長は123mmなんですがこのフォークの特徴である『Free Gift』の固定ボルトに合わせたネジ部にあるフランジ部の厚さがわからないこと、そしてこのネジ部を後で自らフォークコラムに打ち込むタイプなのかわかりません。
まさかとは思いますがフォークコラム長を指定したらあらかじめ装着してくれているなら最高です。
現在注文済みで販売者へ質問として2つ送ってます。
- フリーギストのネジは予めセットされて届くのか
- ネジのフランジ部厚さと合わせての指定の寸法になるのか
詳細は商品が届いてから公開します。
人柱的に注文してみましたが、うまくいけばこれが一番コストパフォーマンスに優れるかもしれません。
ULLICYCカーボンフォークは特殊なキャリパーのマウント形式で大きなコストを掛けたにもかかわらず、最終的にコラム部のボルトが抜けたので違うもの(RIDELOVE Store)に換装しました。個人的にはオススメしません。
もともと軽量なカーボンフレームに市販のカーボンリム、カーボンフォーク、20×1.10の細いタイヤ、重量級の内装変速機でリアヘビーな重量配分とかなり特殊なカスタムによって漕ぎ出しは油断するとすぐウィリーしますし、速度が乗るまでの不安定さや走行時のハンドリングのピーキーさは気軽に乗れる自転車とは正反対で、おいそれと他人に貸し出したりはできません。
そして濡れた街中の路面では恐ろしくて走ることができません。
それでいて平坦でキレイなアスファルトであれば30km/h以上速度が出ます。
そしてさらにハンドルポスト基部の脆弱性からハンドルに力を掛けない乗り方などで完全に自分以外に乗らせることが難しい自転車になりました。
さてこのカスタムで一番強度的に懸念していたヘッドパーツの強化を進めました。
自転車を好きな方には目的や気分によって自転車を乗り換えたりする方もいますし、それが確かに不安や不満もなく安全で快適に走れる最適解なのだと思います。
またそれとは別に1台を徹底的に追い込むやり方もありますし、特にメカ好きの私はそのやり方が性分に合っています。
ただ自動車やオートバイのチューニング(カスタム)も同様に、それが自転車であってもどこかを強化すれば他のどこかに負担が増します。
今回のヘッドパーツ強化、今後のFフォーク換装で次に負担が増すところはFアクスル、もしくはフレームの折りたたみヒンジ部と想定されます。
その負担が増して不具合が発生する箇所をさらに強化、もしくは短いライフサイクルで新品に交換していくというイタチごっこになります。
そのイタチごっこを楽しめるか、面倒に思うか。
もし面倒に思うのであれば自身での過度なカスタムは絶対ににオススメしません。
私は?
楽しくて仕方ありません(^O^)
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